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zoom RSS 『 とりかえばや物語 』 3 

<<   作成日時 : 2016/12/17 16:45   >>

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   とりかえばや物語

                                    山    藤 山

とりかえばや物語 3

女君は、子ども時代には、
世間には自分と同じような人もいるに違いないと思って、
心のまま、気ままに振る舞っていました。
しかし、元服して宮仕えするようになると、次第に、
女の身でありながら男の姿をしている自分が
普通ではないと思うようになってきました。
だが、今更考え直してもどうしようもない。
「どうしてこのように普通の人と違ってしまったのだろう」と、
心の中で何時も嘆きながらも、慎重に身を処して、
余り人と親しく交わらないようにして、宮仕えしていました。
そのような女君にも、良き話し相手になる友ができました。
この時出逢ったのが宮の中将です。

 その頃の帝の叔父に式部卿と申し上げる方がいらっしゃいましたが、
その方の一人っ子の男君(宮の中将)は、
この侍従の君(実は女君)より二つ程年上で容貌や姿は、
侍従の君ほどには美しくないが、
普通の人よりは、遙かに優れて上品で美しく、
心の持ちようは喩えようがなく、
目の届かない所がないという色好みで、もの柔らかに優雅に振る舞い、
どんな女性にも興味を持つのでした。
そういう心持ちなので、この殿の姫君や右大臣家の四の君が、
それぞれに美人の評判が高くていらっしゃるのを耳にして、
「どちらの方をも、何としてでも手に入れたい」と
望む心が強くて、取り次ぎ役にしかるべき人を無理にも捜し求めては、
渡して貰う手紙に思いの丈を書き尽くして、気を揉んで嘆いていました。
けれども、人柄が余りに移り気なので、手紙の遣り取りなど一寸したことでも
「まあ、とんでもない」と
どちらも敬遠なさって、返事をする人もいないのです。
そのことを、宮の中将は、酷く落胆して嘆き続けていました。

 こんな風に実らぬ恋に焦がれ続けている宮の中将にとっては、
この侍従の君が余りにも生真面目で、乱れたところがないのは、
たいそう物足りないけれども、その見た目や容貌の類いない素晴らしさ、
魅力が零れんばかりの美しさを目にするたびに、
「こんな女がいたらどんなに素晴らしいことだろう」と、
慕わしく思われるので、
「妹もきっとこのように美しくていらっしゃるのだろう。否、女はこれよりも一段と優っているだろうよ」
と、そのお姿を想像するにつけて、
お顔を拝見しないで諦めることができそうもない気持ちになっておられました。





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