テーマ:わが兵隊街

最終回 『終景』

   わが兵隊街【連載29(最終回)】                                      瀬 戸   洋   『終景』 晩夏、讃岐平野では、田圃の稲が実りはじめ、黄色く色づきだした朝、 いつものように源造は、東の空に向かって柏手(かしわで)を打った。 「今日も一日、無事でありますよう…
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『貧しきことも幸いなり』

   わが兵隊街【連載28】                                      眞 部 利 治   貧しきことも幸いなり 真吉は健ちゃんの帰還によって、戦争のことが身近になっていた。 首に残っていた弾を記念にもらったが、その弾丸はアメリカ兵のものだ。 また、その弾丸を撃ったアメリカ兵にも…
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『ありがとう! 健ちゃん!』

   わが兵隊街【連載27】                                      眞 部 利 治   『ありがとう! 健ちゃん!』 真吉が帰省していると聞いて、丸太商店の便所の汲み取りをしている健ちゃんが訪ねてきた。 「お帰りな。東京は、どうな? 映画は創れそうかな?」 健ちゃんは…
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『心身ともに崩して母のもとへ』

   「わが兵隊街」 【連載26】                                     眞 部 利 治   『心身ともに崩して母のもとへ』 真吉は、高校の同窓生を東京駅に見送っていった、そのとき、 夜行列車〈瀬戸号〉が同窓生を乗せて四国に向かって発車し、 テールランプを見送っていると、突然、…
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『芸術家は戦争を望むか』

  【新作連載小説25】 わが兵隊街                                      眞 部 利 治 真吉のアパートには、法学を学ぶ中央大学の学生や、 経済学・政治学を学ぶ早稲田大学の学生がいた。 ある日、吉祥寺の近くにある池の畔にある公園で、深夜、女子大生が殺された。 誰が? 何…
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『真吉、大学生活に突入』

  わが兵隊街【連載24】                                      眞 部 利 治 丸太商店の夕食は、何年ぶりかのすき焼きだった。 縦に長い食卓に、大家族が並んで食べた。 すき焼き鍋は、子どもたち用と大人用の二つを並べて、母がすき焼きを作った。 この日は、いつも世話になっている与吉…
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『真吉、大学生活に突入』

  わが兵隊街【連載24】                                      眞 部 利 治 丸太商店の夕食は、何年ぶりかのすき焼きだった。 縦に長い食卓に、大家族が並んで食べた。 すき焼き鍋は、子どもたち用と大人用の二つを並べて、母がすき焼きを作った。 この日は、いつも世話になっている与吉…
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『真吉、大学受験』【連載23】

  わが兵隊街【連載23】                                      瀬 戸   洋  真吉、大学受験  年が明けて三月の初め、突然、兄のアパートに電報が届いた。  父源造から「大学、合格、おめでとう」という電報があった。 真吉は、日本大学芸術学部に、かろうじて合格したので、 …
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『父、源造の決断』

   わが兵隊街【連載22】                                      眞 部 利 治  真吉は、源造より一週間遅れて帰った。  兄、文吉とは、真吉が大学に入ったときの打ち合わせをして帰った。 どうしたら、両親に迷惑をかけずに大学にいかれるか、具体的、現実的に話し合った。 当分は…
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『父、源造、東京駅にくる』

  わが兵隊街 【連載21】                                      眞 部 利 治  戦争で破壊された東京も、十年が過ぎると、その焼け跡を街の中で見ることはできなかった。 丸の内にはビルが建ち並び、地下にトンネルを掘って電車を走らせている。 まもなく池袋~有楽町線が開通する。 フラン…
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『これが東京だ』20

 わが兵隊街【連載20】                                      眞 部 利 治  これが東京だ  夜間急行列車〈瀬戸号〉が東京駅に着いたのは早朝だった。 真吉は興奮のあまり、よく眠れぬまま夜明けの東京駅に辿りついた。 駅のホームが何本もあるのに驚いたが、 列車から降りた乗客…
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『別れの一本杉』

 『わが兵隊街』【連載19】                                      眞 部 利 治 真吉、家出の時がきた。 弟たちと打ち合わせをし、真吉の用意した家出用ボストンバッグを、 夕方、陽の沈む前に、金倉川の出水の近くの一本杉の所まで持ってきてもらうことを約束し、 父、源造が注文をと…
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『真吉、家出を計画』

 わが兵隊街【18】                                     眞 部 利 治  与吉さんが 「真ちゃん、映画つくるんやて?」 と言われた日から、いくら真吉が店の仕事に力を入れて働いても、源造の気持ちは晴れなかった。 母スミとの口争いも日増しに増えてきた。 店に来る客にも 愚痴を言う…
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連載小説 『わが兵隊街』17}

                                     眞 部 利 治  『荷馬車、店に飛び込む』  丸太商店に荷馬車が飛び込んだのは、善通寺の街にも聞こえ、丸亀の問屋筋にも広がっていた。 「馬が家に飛び込むのは、縁起がいいと言いますよ」 と言われても、店先をやり直すのに十日ほどかかったし、座敷は畳が破…
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『真吉に苦悩が走る』

 わが兵隊街【16】                                       眞 部 利 治  真吉に苦悩が走る  真吉は、丸太商店を手伝いながら高校に進むと、自分の夢を抱くのと同時に丸太商店の先行きに不安を感じはじめていた。  昭和二十九年ごろになると、戦後の苦しい生活から抜け出してどうにか…
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『丸太商店ピンチ』

 ■わが兵隊街【15】  ●丸太商店ピンチ                                       眞 部 利 治 「お父さん、乾物屋も現金でないと売ってくれない。砂糖は仕入れできなかった。どうするん?」 「お父さんが電話しとくから、明日またいってくれ。藤田さんとこが法事で砂糖がいるんや。なんとかせな! …
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『わが兵隊街』――連載14

                                    眞 部 利 治  ○ 高校入試の騒ぎ  竜川村の中学校で高校進学する、ということが、全生徒に問いかけられるようになってきた頃、真吉たちのクラスで騒ぎが沸き起こった。 「お前どうする?」 「あんた、どうする?」  村で、上級高に進学するのは特殊な…
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『わが兵隊街』――【連載13】

                                    瀬 戸   洋 ●――青春の心が動く真吉  丸太商店のお得意さんには、農家が中心だが、ときには非農家のところもあった。もともと村の人だが、都会に出て働いていた人たちが、戦争中、戦禍を逃れるため、親戚を頼ってこの村に疎開してきた。都会は焼け野原になったが、…
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《連載小説》わが兵隊街【12】

                                      瀬 戸   洋  真吉・成長の原点――両親のことば―― 「あの部落は、戦争で焼け出された人たちがトタンでバラックを建て住みついた人だ。困っているからといって、誰も助けにはいかん。あそこの人をみんな怖がっとるが、誰も悪人はおらん。まともな生活ができんだ…
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『わが兵隊街』――連載【第11回】

ガンバレ讃岐平野――新たな戦争が                                    眞 部 利 治  この地は、春は田畑が田植えでみどりのじゅうたんとなり、菜の花畑にはモンシロ蝶が飛び交い、農家の家々にはこいのぼりがなびき、田畑の間を流れる小川には、小ブナやメダカ・ハゼたちが遊びまわっている。石垣の穴から…
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新作連載小説『わが兵隊街』その10

                                    瀬 戸   洋  ○ 兵隊街に悪魔が栄え  その日は、晴れ渡った日曜日、少し元気になった母は、真吉に自分のおもゆは自分で作れるから、今日はビラのタダの券があるから映画に行っておいでと言った。 街の映画館からは、ことさらスピーカーを東に向けて大きく音楽を流し…
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